Two for the Road いつもふたりで

"Due per la strada" --- ミラノに住むふたりが、徒然とイタリア生活やヨーロッパの綺麗な風景、旅行記を綴ります。

夏休みを目の前に

お題「夏休みの計画」

f:id:ventottoprimavera:20170815021215j:plain

2015年夏のミコノスタウン

ようやく夏休み!

全く空気を読まずにバカンス真っ盛りの8月半ばに役所に招集するイタリアという国家を呪いながら(8月半ばに役所がやっていることにも驚き)、用事も無事完了し、今週から少々遅ればせながら、私達の夏休みも始まります。

まずはギリシャサントリーニ島クレタ島へ。これがいわゆる我々の新婚旅行。イタリアの法律に、新婚旅行休暇として10日間(土日くっつけて2週間可)付与というものがあるので、それをたっぷり活用します。

ミラノからは、夏の間だけ、ギリシャの島々に直行フライトが出ます。お互い旅行好きなのに、サントリーニ島というハネムーンの超定番をあえて残していたので、結婚式と同時期くらいにパタパタと決めてしまいました。

サントリーニは火山の島。あくまで景勝地であって、見目麗しいビーチがあるわけではない!と周囲に散々聞かされていたので、高速船で数時間で移動できるギリシャ最大の島クレタにも行くことにしました。

クレタギリシャ神話の島で遺跡がたくさんあるし、天国みたいに綺麗なビーチもあちこちにあるそうです。

9月は、友人が遊びに来るので、ところ変わってスイスアルプスへ登山。私(海派)・夫(山派)共に満足の夏休みプランです。

ギリシャの読み物定番「遠い太鼓」

ギリシャに行く機会があると、登場人物が多過ぎて混乱するギリシャ神話の復習と一緒に、村上春樹著のエッセイ「遠い太鼓」をなんとなく読み返します。

私は正直、村上春樹氏の小説が好きではありません。その原因を作ったのが我が親友(狂信的ハルキスト)で、半ば強制的に貸してくれた小説が「国境の南 太陽の西」だったのですが、当時中学生だった私は現実味のないストーリーとやたらリアルな性描写に若干ドン引きしてしまい、しかし心酔する親友の隣で、懸命に短編・中編小説に手を出したものの、かえって強いアレルギーを引き起こすこととなってしまいました。

が、イタリアに引っ越してきてから、「遠い太鼓」を入手して、村上氏の書くエッセイは面白いという事に気付きました。「遠い太鼓」は今から30年くらい前に、村上夫妻が南イタリアギリシャで暮らした数年間を綴った長編紀行文なんですが、30年経とうと、イタリア、そしておそらくギリシャも、大まかなところは何も変わってない。むしろ未だに、わかるわかる!と思うところ多々なのです。エッセイは自然体で、シニカルだけど前向きで、実際にお話したら、きっとすごく楽しい方なんだろうなと思います。

今日、文庫版あとがきを読み返していて、村上氏はその後アメリカで暮らされたようですが、アメリカ暮らしに比べると、ヨーロッパでの生活は、今日いちにち、何が起こるかわからないというスリルがあった、というようなことが書かれていました。

確かに。日本やアメリカに比べると奇妙で理不尽なことが多く、何が起きてもおかしくないヨーロッパです。が、暮らしながら年月が経つと、そういう刺激もついつい、少しずつ、だんだんと薄れてきてしまったりします。あのミラノ大聖堂を見ても、透明な地中海を見ても、特段心が動かなくなってしまったという知人もいるくらい。慣れや経年変化とは恐ろしいものだと思います。

同じ出来事ひとつとっても、幼い頃の方がよりフレッシュで輝いて見えたのは事実です。でも、どこでどう暮らしていても、村上氏のいう「純粋な驚き」に出会えるのは、きっと心の感度次第なのだろうと思います。それは各個人が一生磨き続けて行かなければならないのでしょうね。

「遠い太鼓」が面白く感じられるのは、作家ゆえに、そんな感度が常に高い位置で保たれているからなのだろうと思います。