Two for the Road いつもふたりで

"Due per la strada" --- ミラノに住むふたり、橘凛夫婦が、徒然とイタリア生活やヨーロッパの綺麗な風景、旅行記を綴ります。

欧州自動車旅行のススメ②注意点とメリット

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italia.hatenadiary.com

欧州自動車旅行のススメ、その②です。
元々①に書いていた気をつけるべき点とメリットを、
別記事に分け、少し文章を推敲・付け加えました。

自動車旅行の気をつけるべき点

  • まず地域
  • ワイパー、ウインカーレバーの位置
  • マニュアル(MT)車とオートマチック(AT)車
  • MT車を乗られる場合
  • R(リア)ポジション確認
  • ナビゲーションの確認
  • 交通標識

車を使うメリット

  • 複数の目的地に短時間で行ける
  • 旅先の予定を組み替えやすい
  • 田舎の素晴らしい景色が見られる
  • 都市部でも活躍する
  • 遭難の危険性も少ない 

自動車旅行の気をつけるべき点 

まず地域

私がお話しているケースは、欧州それも西欧や中欧を前提にしています。

このブログの通り、私は他にも色々行ってますが、
中東、アフリカなどは絶対にオススメしません。
旅行前から噂に聞いていましたが、実際に行ってみて理解しました。

車の扱い方が我々と違う・・・(愕然)

何が違うかというと、車と車の距離が違うのです。
それも前後の車間距離だけじゃなく、左右の車間距離が特に。
曲芸じゃないか、と慄いてしまいました。

でも少なくとも西欧や中欧は、そういったことはありません。
日本より多少なりとも危なさそうな運転をしていても、
車間距離はきっちり空けていますし、後ろから車が来ると道を譲ってくれます。

私が住んでいるイタリアでも、危ない運転をする輩はいますが、
車の保険は必ず加入せねばならず、またどちらが責任を取るかも明確です。

ワイパー、ウインカーレバーの位置

実はこれは盲点だったりします。

例えばイギリスやアイルランドなど、
日本と同じ左側通行の国でも、ワイパーとウインカーの位置は日本と違います。

日本の場合ウインカーは「右」、ワイパーは「左」ですが、
ヨーロッパは左側通行・右側通行に関わらず、
ウインカーは「左」、ワイパーは「右」です。

これはISO*1で定められており、
我々が常識と思っているJIS規格とは違うのです。

必ずこの点を念頭に入れて、運転してください。

そして左や右にシグナルを出そうとして、
ワイパーをギッチョギッチョやってしまったとしても、焦らないでください。
多分、99パーセントの人が同じことをやります。
そんでもって、その内の99パーセントの人がついでに洗浄液も出します(笑)

間違って当然、やっぱやっちゃったか〜の気分で、是非運転してください。

マニュアル(MT)車とオートマチック(AT)車

日本やアメリカだと、殆どの車がAT車になっていますが、
ヨーロッパはMT車が主流です。

アメリカや日本というのは、古いものを新しいものに取り替えていく国です。
便利なものはさっさと取り入れよう・今はまだでも将来には普及させよう。

でもそんな意識、欧州にはあまり持ち合わせておりません。
便利でも、良く言えば温故知新、悪く言えば頑固に今までに固執します。
建物が際たる例です。
古い町並みが残っていますが、わざわざ残した理由もあれど、
住み難さを引き取ってでも残さざるを得なかった理由だってあります。
(良し悪しではありません、街並みは欧州の方が確実に綺麗です。)

 

なのでレンタカーは当然MT車が前提。
空港など、それなりの規模の場所ならまずAT車の用意はありますが、
なるべく早めに予約し、受け取りも念押しで確認しましょう。

MT車を乗られる場合

日本は既にAT車だらけの世界、MT車の免許を持っていても、
私みたいに自動車学校で学んだ後、殆どMT車を運転した事のない方。
私はAT車をオススメしますが、それでもMT車を乗られる方もいらっしゃるでしょう。

気をつけるべきこと。
当然ですがギアシフトレバーの場所は「逆」です。

そしてシフトレバーは日本と逆ですが、
アクセル・ブレーギ・クラッチペダル等の、足を使う部分は全て日本と一緒です。
(右足でアクセル・ブレーキ操作、左足でクラッチ操作)

まぁつまりは、足は感覚で操作して問題ないので、気をつけるのは手だけ。

 

今まで日本では左手でシフトレバーを操作していたのが、
右手になるというのは恐怖、、、かと思いきや、個人的な感覚では案外慣れます。

欧州で運転し慣れた「かぶれ」の私に言わせると、
そもそもシフトレバーは右手で使うために作られたのではないか、と思ってます(笑)

私など右利きの人間にとっては、左手はあまり自由ではない感覚。
左手にハンドルを任せていいの?!と心配になるかもしれませんが、
でもギアシフトの操作の時って、実はあまりハンドルって操作しませんよね?
我々、曲がる時ではなく、直線でギアチェンジを行うのが大体のケースのはず。
ハンドルを軽く握るのと、シフトレバーを速度ごとに別のポジションへ移す操作と、
一体どちらが複雑な操作か、皆さんもよく分かるはず。

尚、左利きの方、すみません、私はどういう感覚になるか、よく分かりません。
ウチの妻は左利きですが、AT車限定ですので。。。

R(リア)ポジション確認 

あとそうそう。私の経験上、
レンタカーは必ず、運転する前にR(リア)ポジションの確認をします。
日本にはない車種がよくあり、
シフトレバーの場所も違えば、車によって最高5〜7速まであります。

何よりもRポジションへのシフトは非常に複雑。
シフトレバー自体を押したり(文字通り、上から下に押す。)、
レバーにあるボタンを押したり、レバーの把手のリングを上げたり、
ほんと言葉では説明できない色々をしながら、シフトレバーを動かして、
ようやくRギアに入れられます。
よくこんなに多岐に渡っているなぁと感嘆するほど。

私は一度、レンタカー屋を出てからRギアにどうやって入れるか分からず、
一日中バック(後退)出来ない状態で車を運転した事もあります(笑)
でもこういう確認も、自動車学校で習いましたよね。

ナビゲーションの確認

MT車が多い欧州が、その性格上もちろんナビが付いている車は全てではありません。
必ず、レンタカーする際は前以って確認しましょう。
申請時だけでなく、窓口で話している時も。
もちろん付いていない車種は、ナビの使用料がかかります。

また、言語確認もした方が良いでしょう。
まず借りた場所の現地語になっていますし、音声ガイドも現地語でわけわかめです。
日本語が入っているのも中にはありますが、確実に英語は入ってます。

 

尚、ナビはヨーロッパ全土が一つで使えます。
別の国の都市だって目的地にできますし、他国の郵便番号で検索できます。
GPS信号の受信は金銭のかかるものではないですし、
地図データだってダウンロードするわけではなく、内蔵されています。
安心してたくさんの国にわたってください。

ちなみに私は、渡る橋は叩きまくるクチなので、
自分用のPND(ポータブルナビ)を持ち運びながら、
万が一を考え、iPadGoogleマップとアプリmapsmeで、
行き先のオフラインマップを前以ってダウンロードしています。
最悪のケースや、分かりづらい交差点や地図とは違うお店があった場合に
色んな視点から位置情報を見られるのは助かるものです。

交通標識

基本的な交通標識は全て日本と一緒です。
一方通行、進入禁止、最高速度制限、駐車禁止、停車禁止、等々。

ただ、中にはその土地特有のもの、欧州共通のものもあります。
これはまた、次回取り上げさせていただきます。

車を使うメリット

気をつけるべき点を先に書かせていただきました。
車の良い印象をみなさんに与えるため、車を使うメリットを次に記載します。

複数の目的地に短時間で行ける

何と言っても、これが車の最大のメリットでしょう。

たとえばフィレンツェ近郊には、
斜塔で有名なピサ、世界一綺麗な広場を持つシエナ
塔だらけのサン・ジミニャーノ、街並みが綺麗なルッカ、等々、
たくさん魅力的な観光地があります。
このどれもがフィレンツェから車で1時間以内に行ける距離にあり、
1日で2つの町は少なくとも、頑張れば4つ行けると思います。

また、観光地は世界には様々とありますが、
中にはたった一つ観光名所があるだけの土地もあります。
その一つのために、何時間も待ち時間を使って、電車で行きますか?

旅先の予定を組み替えやすい

たとえば、ある町を訪問した際、想像してた以上に気に入ってしまったら。
また、急遽足止めを食らって、予定時刻に間に合わなくなったら。

こういった不測の事態でも、車なら焦る必要はありません。
私の場合、行きたい場所にある程度優先順位を付けていて、
その日一番最初に訪れる場所か、または最後に宿泊する場所として選びます。

田舎の素晴らしい景色が見られる

電車から眺める景色も素晴らしいものは沢山あると思います。
しかし中欧の田舎で一面の緑に出会ったり、南仏のラベンダー畑に囲まれたり、
ふとした素晴らしい景色は、旅の途中でも少し立ち止まって、
その雰囲気に心委ねてみたいですよね。

都市部でも活躍する

ヨーロッパは人が住むところ(所謂「集落」)とそれ以外と差が激しく、
人が集まるところには主要な機能がほとんど集中した場所にあります。

そのため、観光名所もほとんどが徒歩圏内に集中しています。
つまり、どこかで駐車すればあとは徒歩で全て観光できてしまうのです。
130万人都市のミラノですら、主たる観光名所は徒歩で全て回れます。

また、都市の中で少し離れた観光地だって、車を使って回れます。
フィレンツェは都市部は全て徒歩圏で回れますが、
市内を展望できるミケランジェロ広場は歩くとちょっと遠いです。
そこを、車ならひとっ飛び。
あの広場は、路駐駐車場がたくさんあり、必ずどこかに駐められるでしょう。

遭難の危険性も少ない

車のトランクには、荷物が積めます。
そのため、大きな荷物やちょっとした荷物を持ち運ぶ必要はなく、
観光地で気をつける盗難のリスクは、少なからず下がります。

また、駅や空港などの不特定多数が集まる公的機関に行かないので、
昨今増しているテロ遭難の危険性だって、下がります。

 

色々書きましたが・・・最後に。

勿論、電車やバスが悪いわけではありません。
ちょっとした長距離を、毎日車で何時間もかけて行くべきではないですし、
場合によっては公共交通機関を使った方が、体力的にも時間的にも楽です。

ただ、明らかに車で行くべき場所へ、電車やバスを何個も乗り継いで行くことは、
なるほど、苦労話が後々できるかもしれませんが、
それは不要な苦労を勝手に背負っているだけ、時間を無駄にしているだけです。

皆様が車で起きるかもしれないリスクを私は負えませんが、
上記に書いたように別のリスクは軽減しますし、他のメリットも多いです。

 

折角の旅行、レンタカーという選択肢も取ってみてはいかがでしょうか。

次回は路上駐車の話をできれば、と思います。お楽しみに。

*1:International Organization for Standardization / 国際標準化機構